国道56号線は、高知市から旧窪川町(四万十町)に入る手前で、JR土讃線と同様に、バイパスは「窪川トンネル」を、旧道は「呼坂トンネル」をくぐるが、これらのトンネルができる前には、幹道が「呼坂峠」を越えていた時代がある。
現在の「呼坂トンネル」は二代目で、先代は「呼坂隧道」という狭く薄暗いトンネルであった。中学入学により親元を離れる前、小学生の頃は、「呼坂隧道」は川へ泳ぎに行ったりシジミを獲りに行く時によく自転車で走ったが、自転車で走っていると背後から誰かの呼び声がするようで、少し無気味であった。
きっとその雰囲気が「呼坂」の名前の由来とばかり思い込んでいたが、実際には長宗我部元親がこの峠から、麓の敵将に向けて大声で降伏勧告をしたことに由来するということを知ったのがつい最近、いやはや生まれ故郷というのに情けない限り。

国道56号線「窪川トンネル」の北で、愛媛県宇和島市へ向け国道381号線に右折分岐。
「呼坂トンネル」を抜けたら県道19号線の分岐を右折し、「身代り大師」方向へ右折登攀、後は「テレビ塔」へ向けてひたすら高度を上げて行く。

「呼坂トンネル」を抜け
1つ目の信号は直進し
2つ目の信号を右折する

この信号を直進すると
「四万十川」に沿って西土佐へ
そしてさらにその先は愛媛県宇和島市

この「身代り大師」の案内板が目印

「テレビ塔」へと続く道を行く

「身代り大師」の通称は「お大師様」



かつて「火渡り」も行われた修験の道場

「呼坂峠」にあった「横倉神社遥拝所」を
現在はこの地に遷移している

背後に聳える巨木にキノコが密生

左手の切通しが「呼坂峠」

幼少の頃には、まだこの峠の先にはかつての旧道が残っていて、何度かは峠を越えて「呼坂隧道」(現「呼坂トンネル」)北口へ降り立った記憶がある。
Yahoo地図には、緑色の部分に旧道が残っているが、国土地理院の地図では現在すでに消えている。
ただ、Yahoo地図での緑色の旧道は、国道56号線バイパスにある「窪川トンネル」の北に接道しているが、遠い記憶では旧国道56号線「呼坂トンネル」北口にあったうなぎ屋さんの近くに接道していたような気がしてならない。

多くの旅人を見送って来たお地蔵様

昔の写真を見ると、この辺りには茶店が立ち並びなかなか繁華な光景であるが、半世紀前に小生が駆けずり回って遊んでいた頃にはすでにその光景はなく、ただただ寂しい峠であった。
子供時分に近所のご隠居さん達から、昔は窪川から東へ出立する旅人を、この峠まで親戚縁者が見送りにきていたものだとよく聞かされた。
また、「身代り大師」の女性住職さんはなかなかに神通力が強く、縁日の日などは大勢の信者さんたちが行列をなしたとも聞いたが、幼少時代に家の前を信者さんたちが歩く行列の記憶は思い起こせない。

旧道に分け入ってみたところ
廃道に近いと聞いてはいたが
少しだけ歩いたところで
「イノシシの罠に注意!」を見て退散
うっかり罠を踏むと大変な事になる

この辺りは竹が倒れているが
この先には倒木も多いという

かつて峠の高台には
「横倉神社遥拝所」があったが
現在は「身代り大師」の傍らに遷移

見覚えのある防空壕跡?は芋壺か?

突然視界が開けてきた

「茂串山」の北麓に窪川町の中心街

この見晴らしの良い場所へは、「呼坂トンネル」南口から山腹の墓地を登っても辿り着くことができる。土曜日が「半ドン」だった時代、小学校から帰宅して昼飯もそこそこに駄菓子屋で買ったお菓子をポケットにしのばせて登ったものだった。
「テレビ塔」への車道を歩くより近いことと、墓地の中を歩くスリリングを求めて、たいていの場合は墓地の中を登った。眼下には国鉄窪川駅があり、西へ東へと発車して行く列車のディーゼル音が山上にも響き、なかなかオツな風景であった。
桜の木の下にベンチ

北西から順に

西

南西

正面の鎮守の森は琴平神社

パノラマだとこんな感じ
海抜300mの台地の盆地
夏は暑くて冬は寒いはず

開花を待つ春の使者「スイセン」

さらに高度を上げて行く

ほどなく舗装が切れる

ご機嫌な林道になってきた

なぜか昔から掘り切りに惹かれる

羊歯も密生してきた

右上方に「テレビ塔」が見え始める

テレビ塔と高さを競う白骨樹

自転車でも大丈夫な路面だが
問題は脚力
けっこうな勾配がある

良い雰囲気になって来た

「テレビ塔群」に取り付いた

軽トラックでもここまでが精一杯



山頂は三等三角点「柏木」
海抜486.0m

ん?485.8mと読めるような・・

山頂には数基のアンテナが林立
東方向へと進んでみる




判読不能

「・・・物貯蔵取扱所」と読めるが・・

どの塔も芸術的

山頂へと戻る尾根道

木々の隙間に「四万十中央IC」

山頂に戻って来た

「窪川雨量観測所」

この地は高知のチベットの一つ
吹くか、降るか、照るか、冷えるか、、




この辺りの字(あざ)は「見付(みつけ)」

ゆるゆると下山を開始する

幡多路へと続く国道56号線
はるか先に「足摺岬」を遠望できる

作業道に寄り添う稜線沿いの尾根道
脱兎のように歩いた頃が懐かしい

ここだけ道幅がやや狭く
かつ
谷が深い

国道381号線の分岐へ戻る
直進する県道19号線は
JR土讃線「窪川駅」へと続く

♪茂串山の空晴れて~♪
窪川小学校の校歌にも登場する
右手前が「茂串山」で
左手奥が「五在所山」(大観峰)

道の駅「あぐり窪川」から南を見ると

三角屋根の向こうに
「テレビ塔」群を北から遠望できる

不死鳥?のモニュメントの左
青白く輝く球体の正体やいかに?

県西部へお出かけの場合、往路は「四万十中央IC」を降りた「道の駅あぐ窪川」あたりから南に、復路は「四万十西IC」を降りて四万十町中心街へ入る手前辺りから北に、テレビ塔の林立する山が見えて来る。
今日は四万十町に所用があったので、帰りに実家の軽トラックに乗り換えて、実に半世紀ぶりに「テレビ塔」まで登ってみた。歩けば約1時間ぐらいだったように思う、小学校の遠足で学校から実家の前を通って登った記憶がある。
トンネル名の由来を大きく思い違いしていた「呼坂峠」を経由して登った「テレビ塔」は、雑木が繁り眺望はあまり効かなかったが、良く晴れたこの日は運よく「足摺岬」を遠望することができた。