高知市と土佐町の境にある「県民の森工石山」に登られた方には、ご記憶にあるかたも多いことと思う。
「赤良木峠」を挟んで「工石山」の東にある「三辻山」から東へ、嶺北地方と高知市との旧往還道の「樫山峠」へとなだらかに伸びる稜線の途中に、見事な岩峰「黒滝峰」が聳えている。
この「黒滝峰」の山頂へは、「樫山峠」経由の「三辻山」への登山道にある、通称「黒滝峰ピストン」分岐点から容易に立つことができるのだが、岩峰の南壁をどうにかして攀じ登れないかと思うかたもきっと多いことと思われる。
地図の右下、県道16号線のUカーブ、「樫山峠経由三辻山登山口」から入山し、途中にいくつか鎮座する大岩を巡りながら、地図中央の東西の横道「赤良木道」に取り付き、「黒滝峰」に直登するのが一番スリルがありそうだが、今日は絶壁の下に行くことが第一目標。
よって、「工石山登山口」から「三辻山」へ向け北登、「樫山峠分岐」から「赤良木道」を東進、「黒滝峰」の絶壁の真下へと進んでみた。
ログの切れ間が示すように、「黒滝峰」の絶壁の下から行けるところまで登攀してみたが、あと一歩の勇気がなくあえなく撤退、「樫山峠」の白骨樹を登る幻のシカを見て、「樫山峠経由三辻山登山道」を西進登攀、「黒滝峰ピストン」から絶壁の頂上に立つだけで帰ってきた。
ログの繋がらないわずかの区間が悔しいが、何ぶんにもいつもながらの単独山行、途中の岩肌でニッチもサッチも行かず、抜き差しならぬ状態になったら、関係者の皆さんに多大なご迷惑をおかけする。
その上さらに、それを機に入山が一切禁止されでもしたら、多くの岳人の皆様に顔向けが出来ない。また、ヘリコプターに救助される映像がニュースで流れでもしたら、高知の町をチト歩きにくい。
と、取れないブドウの実は酸っぱいと決めつける狐のようだが、いつもの得手勝手な解釈で「勇気ある撤退」とこじ付けて下山したが、前回の予習では絶壁の下にすら行きつけなかったし、幻のシカにも会えたし、実に楽しい遊山となった。
「黒滝峰」が県道から見え始めた
見るたび怯む南壁
ANA機が頭上を東へ
なるほど
こういう使い方も
必要は発明の母
せめて足元だけにでも近づきたい
いつ見てもご立派でご誠実で
「赤良木隧道」南口を左折
「工石山」登山口から
ドロマイト採石場跡への作業道へ
右手頭上に「黒滝峰」の山塊
「三辻山」への作業道を直進する
2つ目のUカーブの東から入山
良く見ると左前方に立札がある
植林の中をひたすら東へと進む
「三辻山」への分岐三叉路も東へ直進
「樫山峠」を目指す
左上に赤テープがあるが直進
けっこう植生が豊か
大岩が現れるがさらに進む
やや登り坂となり
この橋を渡ると
右手に赤テープがある脇道十字路
陽射しに向かって右手に出ると
展望の開けた岩の上に出る
「浦戸湾」の先に太平洋
今日はピカ晴れ
現在地は「黒滝峰」の真下にあたる
展望岩から「赤良木道」に戻る
左(西)から歩いて来た横道は
さらに東の「樫山峠」へと続くが
正面北向きに踏み跡を辿り絶壁の真下へ
さまざまな道標が林立している
実に心強い
白地に赤のテープが「黒滝峰」の特徴
迷いやすいが踏跡はいったん左へ出て
右上に戻るイメージ
このテープが目印
この木と
この木も目印
少し藪化しているが突き進む
この大岩の真下へ着けば正解
これは登れないので右へと回り込む
岩伝いに東方向へと進むと
大きな白テープの右前方に
見づらいが画像右上にロープが
上端は古木に結わえ付けられている
ウエブサイトでおなじみの場所に着いた
白骨樹の上端までは行けそうだが、、
ロープに完全に頼るわけにはいかないが、最近付け替えられた?というロープは実にしっかりしている。
が、ロープの先端から先は見えないが、ネット記事ではその先にもう一か所最後の難関が待ち受けているとも聞く。
しばらく迷いに迷ったが、行くもならず戻りもならず、立ち往生ならまだしも座り込み往生をして、消防署や警察署の皆さんをはじめ、山岳愛好者の皆さん、地元関係者の皆さんにご迷惑をかけてはいけないと思い、ここからの登攀は諦めた。
もう少し若ければ、無理むっちゃく攀じ登ったとも思うが、石鎚山系の「子持権現山」の鎖場で朝露に足を滑らせてからというもの、一度吹いた臆病風はいまだに、おそらくこの先も、吹き止みそうにない。
同行者があれば、どこか心強いところがあって、競争心や勢いというものも背中を押してくれるが、ひ弱な小心者の単独登山はこのあたりが限度、無理は禁物と諦めた。
白地に赤のテープに見送られる
往きには気付かなかったロープ束
せめて岩場を散策しようと
「工石山」側へと回り込む
絵になる白骨樹が立っている
県道16号線が眼下に見える
東を振り返ると土佐町の「笹ケ峰」
ずっと先まで回廊が続いているが
絶壁となっていて先端まで行けず
寄らば大樹の陰とばかりしがみつく
撤収軍の哀れが漂う下り坂
登って来た道を降りていく
またあなたにお逢いするとは・・
「赤良木道」の手前まで戻って来た
画像の赤線の右下が、白骨樹に結わえられたロープの上部かと思われる。
その先、どこにもう一つロープが架けられているという最後の難関があるのか、あるいは、頂上までは岩肌伝いにただ登ればよいだけなのか、今日はわからず終いとなってしまった。
等高線で見ると、標高差で10m以内、水平距離ではほんのわずかなのに、そして、北側からは簡単に登頂できるのに、南側の絶壁からは簡単には登頂できない。
この「岩登りルート」、先行の方々のウエブサイトは、簡単に登れたというかたと、かなり怖かったというかたとに二分される。
昔の山行記事ほど手強かったという内容が多いところからすると、最近は新しいロープも架けられているとのことで、以前よりは登り易くなっているのかもしれない。
が、先日、実際に「黒滝峰」にロープを架けられたかた、ご本人はすでに他界されたとお聞きしたが、そのかたに「黒滝峰」の「岩登りルート」に連れて行ってもらったことがあるという男性に、「ロープは絶対に信用してはならない」と教えていただいたことをあらためて思い出した。
『黒滝峰(2/4)【樫山峠のシカ】(高知市)』に続く。