先週、7年ぶりに登って来た「大座礼山」のブナ林は、すっかり落葉した直後とはいえ、ずいぶん枝葉が短くなり、かつ痩せ衰えた印象であった。
山登りを再開したここ10年間の山々に再び登る機会が増え、その頃に当時コンデジで撮影した画像を見返す機会が増えている。
当時とは格段上の性能のデジカメで撮影してきた画像なのに、登山客が減ったこともあろう、山里の高齢化の影響もあろう、最近特に、どの山の風景も一昔前と比べるとどこか色褪せて見える気がすることが多い。
当時の登山道は、例えていえば、良く箒が当たっている、といった印象で、路傍の草花も今よりもっとキラキラと輝いていたように思う。
今回の「大座礼山」登山を機に、2012年5月の「大座礼山」を記憶に残しておきたい。
新緑芽吹く山笑う時期の画像との比較は、「大座礼山」の巨ブナ諸氏には片腹痛いかもしれないが、今秋の「大座礼山」にはどこか悲壮感が漂っていたように思えてならない。
【2012年5月撮影】
この日下界は晴天だったが、登山開始とともに山の神のお怒りに触れたのか、「井野川越」を切り返しブナの広場にさしかかった辺りからはどんよりとした曇天。
山頂まで残りわずか300m、山頂部分を左から巻き始める地点まで来ていたのに、あっさりと登頂を断念してしまった。この日の画像をこれからご覧いただいても、さほどのバッド・コンディションではないと思われることだろう。
が、船釣りをされるかたにはお解りいただけると思う、海上で急に南西から強い風が吹き始め、錨を上げるや強風に追いかけられるように、方法の態で港に逃げ帰る、そんなガス混じりの強風が南麓の「井野川谷」から突然這い上がって来た。
連れがいればまだしも、良くも悪くもここが一人登山の心細さ。別段山登りに限ったわけではなく、何事においてもそうなのだが、百尺竿頭に一歩を進む、の気概というものに欠けている。
県展無鑑査!
「林道寒風大座礼東線」入口分岐
以前は登山口に小屋があり
登山者に呼びかけを行っていた
ペットボトルや土嚢袋が常備されていて
土を入れてブナの広場まで運んでもらい
ブナの根元に補充してもらう活動であった
撤去されたのは何年前なのだろう?
高知市も麓もピカ晴れだったのに・・
まるで杉の木が行進しているよう
そうそう
「通常登山コース」とあった、あった
植生も豊か
仮橋の資材はすぐに間に合う
「井野川越」の切り返し地点に到着したが、この頃から雲行きが俄かに怪しくなってきた。
正面に進入禁止のバリケードがある先が、南麓の「井野川」集落からの古道かと思われる。
この古道がノット「通常登山道」なのだろうか、あるいは、山頂の東麓の沢から直登できそうな雰囲気の場所があったが、それを指しているのだろうか・・
バリケードの足元には
警告書きが石で留められている
いよいよ巨大ブナのエリア
なぜか「上池跡」の画像が残っていない
や、そんなところにおいでましたか
「大座礼山」山頂が目前に現れた
西方向は怪しいが
東方向は晴れている
山頂はもう目と鼻の先だが
このあと撤退を決定付ける強風が
ビュービューと辺り一面に吹き荒れ
一瞬であったが
ガスで視界が無くなった
足元の植物を撮影し
「井野川越」までコケ逃げ
さようなら、また来ます
雷雨の直前のような暗さに
主よ、アーメン
こりゃあどもならんっ
六本足の倒木も急ぎ足で下山
よもや雷が余った跡じゃないですろうね?
この木はしっかり丈夫い
ありゃ?晴れてきたじゃいか
リュックをおろし考える
もう一度山頂を目指すか
それともこのまま帰るか
もう3分の2ばかり降りてきている
なんとも悩ましい空模様だが
山は逃げやすまい
また、ということにしよう!
やあ、こんちまた良いお天気で
後ろ髪をひかれる思いで振り返る
ご立派でご誠実で
ケルンの見送りを受ける
蛇が近くにいそうで無気味
引き返すなら今と言われているような・・
すみません、日を改めます
逆からでないと出会えないものがある
登山口まで降りてきた
「東光森山」から東へと続く山並み
稜線の向こうは愛媛県の新居浜市
登山口周辺もすっかり明るくなっている
新緑が目に痛いほどの眩しさ
この看板も若い
この頃はガルボではなく
ガーナチョコレートだったらしい
リュックは先代のもので
登山の時は麦藁帽子を被っていた
当時も同じ角度で撮影していた
岩が薄く剥がれるようにザレてくる
「東光森山」を目にして7年になる
いつか登ろうと思いつつ・・
「大座礼山」の稜線を振り返りみる
なかなか高い所を歩いていたようだ
「翁の滝」の上部
「白滝の里」への分岐まで来た
「翁の滝」
これもまた「吉野川グリーン」の一つ
左隅の階段の
それぞれの腕に合った段から
飛び込んだら面白そうだが
当然ここは立ち入り禁止
ダム湖左岸の県道17号線を
「早明浦ダム」へと向かう
この天気が山頂にあればと思うが
次の楽しみがまた一つ増えた
そう思うことにしよう
2012年5月GWの海抜1500m付近なので、この日はまだブナの木に新緑は芽吹いていない。
ということは、先週の落葉後のブナと似通った見え方のはずなので、樹勢を見比べるについては、2012年春と2019年晩秋、双方ともにさほどのハンディはないはず。
が、樹木についても当方全くの素人、もしかすると晩秋には、葉のみならず枝の先も枯れ落ちるのかもしれないが、生命力に溢れた毛細血管のようなブナ独特の枝の雰囲気はなく、幹自体も、痩せているというよりは萎びているという印象で、一言でいえば迫力において不足する、感じを受けた。
来年こそは、新緑のブナに会いに行こう。