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茶凡遊山記

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カテゴリ:料理( 2 )

伊勢海老と鮎

 土佐では魚を捌いてお造りにするまでを、「料(りょう)る」と言うが、魚を「料って」遊んでいた頃の変わり種は、伊勢海老と鮎。

 すでに一昔前になるが、土佐湾で船釣りをするセミプロ漁師の皆さんと知り合い、あらゆる釣果のお裾分けをいただいては、料って遊んでいた。

 同じ頃、山里に住まう皆さんからは、「釜煎り茶」や「シイタケ」、「イタドリ」や「フキ」などの山菜をいただき、まさに「海幸彦山幸彦」であった。


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 まずは伊勢海老から。

「網が開(あ)く」、解禁日を迎えると、髭が折れたり少し傷があったりと、販路から外れた伊勢海老を貰う機会がよくあった。港から宅配便で送られてきたが、生命力の強いエビは、オガクズ入りの段ボール箱に詰められたままでも1日やそこらは丈夫に生きている。

 初めて生きたままの伊勢海老を捌いた時には一瞬躊躇したけれども、2匹目からはすぐに慣れてしまい、単純な流れ作業、いやはや慣れとは恐ろしい。


金の箱に入って届いた伊勢海老
御歳暮の清酒の箱と思われる
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さすがに暴れるので軍手は必需品
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躊躇わず一気に刃を入れる
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頭と胴とを分断
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アッという間に4匹完了
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身を胴から刳り出す
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良く肥えている
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身は刺身に頭は汁に
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エクセレント
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茹でる段取り完了
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鍋蓋から髭がはみ出ちょる
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伊勢海老の味噌汁完成
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彩りにネギを散らす
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髭が映り切らないので
ベランダに持ち出して撮影
活け花のようにも見える
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 続いては四万十川の鮎。

 毎年稲作農業のお手伝いに行く先輩の甥っ子さんが、アユ漁のスペシャリスト。

 四万十上流の川という川を知り尽くしたセミプロ漁師から、沢山の鮎をいただいた。

 庭先で催される田植えや稲刈りの野宴で、塩焼きはいつもお腹いっぱいご馳走になるので、お土産にもらった鮎で「甘露煮」作りに挑戦してみた。


1匹ずつ専用の袋に入れて
丁寧に冷凍されている
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鮎の別名は「香魚」
確かにスイカの香りがする
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両面に薄く振り塩
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今回はハラワタを取ってみたが・・
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先ずは下拵えの素焼き
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いっそこのまま食べたいが・・
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ネットで風に当てる
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三段ベッドは干し放題
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甘露煮の準備完了
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本日は土鍋でやってみる
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梅干しと日本茶のパックを投入
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良い感じになってきた
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初めてにしては上出来
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 この遊びのきっかけをくれた、セミプロ船釣り漁師からは、実にさまざまな魚を惜しげもなくわけて貰った。

 折しも、自宅駐車スペースの一角を占めていた大型ポンプの撤去に伴い、念願だった屋外用の簡易台所を据え置くことができた。


カンパチも捌ける長い俎板
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包丁を研ぐ時の杉板まで用意
道具だけは一人前
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山持ちの後輩の実家で貰った
無節の檜板を削って作った俎板

さらに砥石にまで凝り始める
いささかやり過ぎ
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 その後しばらくの間、魚屋さんになった気分を満喫したが、熱しやすく冷めやすい小生のこと、最近はすっかり遠去かっている。

 それでは、魚棚に並んだ魚たちをどうぞ。


知人のセミプロ漁師たちは
チダイを専門に追いかけている
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アジもたくさん貰った
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釣れだちのアジの美味いこと
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サバが混じる日も
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ウルメが登場してからというもの
ツミレ団子鍋に凝り始めた
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ウマヅラハギとオコゼ
ともに身は真っ白で淡白
そして極めて美味
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近頃とんと見かけなくなった
武骨な面差し
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鱗を落した後の
左から
ハリメ、シラコダイ、アカマツカサ
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夕暮れの雰囲気がグッド
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アジもこれだけいただくと
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実に贅沢な話だが
開きにするのも
この辺りで飽きてしまった
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ウスバハギ
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あまりにも新鮮なウルメ
ツミレ団子にするには勿体なく
何匹かは手開きで刺身に
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タコは甘辛煮に
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ガシラはから揚げで決まり
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 前回の「カツオのタタキ」をご覧いただいた先輩から、子供時代のエピソードをお聞かせいただき、自分の子供時代を懐かしく思い出した。

 「オンちゃん、見よってもかまん?」
 「そんなに面白いかよ?」

 子どもの頃、大工さん、板金屋さん、魚屋さん、自転車さん、、、職人さんたちの鮮やかな手元を、飽きもせず眺めていた。

 伊勢海老や鮎を捌くについて、魚の捌き方のDVDやテレビの料理番組を観てみたが、その大半は料理人の正面から撮影されていた。

 子供の頃、職人さんの背中に回り、職人さんの右肩越しに職人さんと同じ目線で見た、あのアングルで撮影してほしいと強く感じた。



by ky_kochi | 2015-08-17 07:42 | 料理 | Trackback | Comments(0)

カツオのタタキ

 高知市内の居酒屋で、とても美味しいカツオのタタキを食べて来たという話を聞き、魚料理にはまっていた頃の画像を引っ張り出してみた。

 カツオは回遊魚、青葉の頃に黒潮に乗り北上して行った初ガツオは、暑かった夏が終わると、再び三陸沖から下りガツオとなりまた南へ帰って来る。


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ムナビレの後ろ
模様の始まるあたりから包丁を入れ
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グイッと切り進む
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包丁がとまったら
反対側も同じように
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仰向けにして
ハラビレから突っ込むと
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意外と簡単に頭が取れる

撮り忘れたが
ここで取り出したチチコ(心臓)を
塩焼きにすると絶品
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この時に
マグロでいう大トロ部分を
三角形になるように切り取り
塩焼きにしたのが
「カツオのハランボ」
この珍味は
今やスタンダードの感
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ハラワタを取り出し
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背骨付近に切れ目を入れ
血を抜き出す
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ここからが真骨頂
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この所作をしてみたかった
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背ビレを包丁でこそげ落としたら
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いよいよ三枚におろす
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尾ビレから腹身へと
包丁を走り滑らせる

ここで俎板の上ではなく
左手で鰹の尻尾を握り上げ
空中で縦に持った鰹を
右手の包丁で切り割ると
さらにシブい
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片方の身が骨から外れた
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「たあるかこれほど骨へ身を残いて
食う先が無いじゃいかっ」
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中骨を身ごとすくい切っておいて
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肩身と腹身とに分ける
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「たまるかそれほど血合いを除けて
身が無いなってしまうじゃいかっ」
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1匹なら4本、2匹なら8本
サクは偶数できる理屈になる
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前日に手伝いに行った
稲刈りでもらったワラで焼く
準備万端あとは仕上げを・・
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ありゃっ?
十分に乾燥させたはずなのに
ワラがボワッと一気に点火しない
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いたしかたない
かくなる上は秘密兵器を
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これは思惑が外れた・・
藁焼きタタキの筈が
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トーチバーナー焼きに
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もうえいろう
あんまり焼いたら生節になる
氷水で〆る
段取りだけは良(え)い
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 予想外の展開に、この後の切り込みを撮影することが抜かっているので、別の日に真空パック商品を切り込みした時のものを。


準備完了!
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大根の他にも
タマネギやリュウキュウの
スライスもベリーグッド!
青紫蘇や茗荷の
トッピングもお勧めしたい
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扇形に並べたつもり
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カツオタタキといえばネギと
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そして
土佐では何といっても
ニンニクのスライス
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「さあ早(は)よう食(く)おう」
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 子供の頃、田舎の親戚の家々では、冠婚葬祭をまだそれぞれの家で行っていた。土佐の郷土料理、「皿鉢(さわち)料理」は、仕出屋から取るのではなく、鰹のタタキや活造りは漁師のオンちゃんたちが、巻き寿司や組み物はおばさんたちが、朝から総出で庭先の俄か台所で作っていた。

 あの時の雰囲気を味わいたいと、ホームセンターで買った簡易台所を屋外に据え、大きな俎板で魚を捌いて遊んでいたのだが、最近はほとんどしなくなり、包丁はすっかり錆びつき、刃こぼれまでしている始末、まことに残念至極。


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 昔は魚棚の前で、「今晩はタタキにでもしようか」と思ったものだが、最近は漁獲高が減ったのか流通販路が変わったのか、本家高知でさえ量も少なければ値段も高い。そのうち高級魚になって、庶民には高嶺の花になるのではないかと心配している。

 そういえば、カツオの身の色合いが白っぽくなったようにも感じている。子供の頃に、木肌の舟に乗せて売られていたカツオタタキと振り掛けられたネギとの色合いは、クリスマスカラーの赤と緑のコントラストにさえ見えていた、カツオの世界にもメタボが蔓延しているのであろうか。



by ky_kochi | 2015-08-16 12:59 | 料理 | Trackback | Comments(0)